「体型についてとやかく言われたくない!」
女性がそう考えるわずらわしさの正体。
「瘦せのカモフラージュ」って何?
摂食障害になった女性たちとの30年余りの交流の軌跡が話題の書に!
以前、女性週刊誌(註2)の拒食症特集にこんな瘦せ姫が登場していました。158センチで30キロ前後の体型だった彼女は「見て、見て! あの子、細~い」などと言われることがほめ言葉に聞こえたといいます。
「スリムな私が羨ましくて、そんな風にいうのだろうと思っていたので、周囲の声はぜんぜん気になりませんでした。細いのを強調するために、ミニスカートまではいていたくらいですから」
こういうタイプ以外にも、瘦身効果を求めてプールやサウナに通う人だっています。ただ、繰り返しになりますが、露出するタイプはあくまで少数派なのです。
にもかかわらず「露出したがる」というイメージのほうが広まってしまったのは、人間の心理的特性によるものでしょう。人間は驚いたり、不思議に感じたりしたことを強く記憶するものです。また、露出していなければ、瘦せ方も目立ちにくくなります。もちろん、夏にそぐわない厚着も驚きや不思議な感じをもたらしますが、瘦せすぎを隠すためかもしれないという想像を呼んだりして、まだ理解に結びつきやすいのです。
しかし、病的な細さの露出はなかなか理解しがたく、ただただ驚きや不思議として感じられます。それこそ「見て、見て! あの子、細~い」と声をあげたくなるほどに。その印象が強すぎるあまり、それが少数派なのに「露出したがる」という全体的なイメージへとつながってしまったのでしょう。
いずれにせよ、瘦せ姫は露出をそれほどしないもの。それは精神的なわずらわしさだけでなく、自身のアイデンティティに関わる大きな危機を招くきっかけにもなりかねないからです。
そう、瘦せ姫のアイデンティティといえば、瘦せ。しかし、それを強調しすぎると、周囲は治療を勧めてきます。つまり、受診や入院などを余儀なくされ、その結果、体重を増やすことになって太(らされ)る可能性が高まるのです。
それゆえ、露出を避けるなどして、見た目をカムフラージュする必要が生じてきます。風呂あがりなどは要注意でしょう。また、体型について干渉してくる度合いには個人差もあるので、瘦せた体を見せてもいい相手かどうかを見極めることも大事です。